ビッグイベント

※とことん下品で汚いです、閲覧注意です

 

f:id:ttatibana116:20170812222543j:plain

 

 

 僕は興奮して眠ることができないでいた、明日はビッグイベント、テンションの上がった羊たちはベリーロールや背面飛びで柵を越え続けていくーーー

 

 

牧場にいる、見渡す限りの草の海が風に波立っていた 

横を見るとでかいホルスタインと目が合った

「こんにちは」「モォ~(こんにちは)」「牧場って何をすればいいんですか?」「モォ~(さあね、我ら牛は草喰ってりゃいいだけだけど…そうだ向こうにソフトクリーム屋さんがある、行ってみたらどおだい?)」「そうします」

 

そこへはすぐについた、丸太でできた小さな小屋だ

「いらっしゃい!」

犬の店員が言った

「ソフトクリームください」「はいよ!」

犬の店員がケースからコーンを取り出し機械のレバーを引くとニュルニュルと白いソフトクリームが出てきた、なめらかで少し光沢のあるそれは上質な紙粘土のようにも見える

「はいどうぞ!」「ありがとう」

 

ソフトクリームを受け取り早速舐めようとしたところで僕は違和感を感じた

「これ、なんかあたたかくないですか?」「出来立てですからね!」「それに少し変なにおいがするような…」「素材本来の味を大事にしているので無香料なんです、それが本物のソフトクリームの匂いなんです!」「あれ?さっきまで白かったのが茶色になってる!?」「アハ体験ですよ!」

いや、それにしても臭すぎる、何なんだこの臭いソフトクリームは…!

 

 

臭くて、目が覚めた

目の前には健康な糞が朝日に照らされテカテカと輝いていた、まだ生まれて間もないらしく鼻先に湿った温もりを感じる

生産者はベットの横で尾を振りながらこっちを見ている、愛犬のダンプ(ヨークシャーテリア♂2歳)だ

 

 「なんて夢だ、あと少しで糞を舐めるとこだった」

 

 僕は怒らなかった、ダンプは今日のビッグイベントの出場者だやる気をそいでしまってはいけない、僕はいつもより多めにドッグフードを注いでやった

  

父と僕、ダンプの二人と1匹で会場へ向かった

母は来なかった、母が言うにはこのイベントは「史上最低、異常者が集う糞イベント」らしい

車の窓から見た空には僕の期待と立派な入道雲がふくらんでいた

 

河原に面した広い芝生の会場につくと犬と人で大いに賑わい、カラフルな屋台からは食欲のそそる香りが流れてきた、じゃがバタ、たこ焼き、犬も食べれるフランクフルトを売ってるお店もあった

屋台ゾーンから西に離れた所へねじり鉢巻の団体が和太鼓を運んでいる、今回は和太鼓のリズムに合わせて行われるみたいだ

 

あのシェパードは力強そう、あの土佐犬はとても大きそう 、あのパピヨンは可愛くてポップ…周りを見渡すと僕の頭の中では想像力が暴走しはじめている、参加者の目は初めて花火を見る子供のように輝いていた

「開始10分前となりました!参加するワンちゃんたちはそれぞれ位置につき準備を始めてください!!」

アナウンサーが叫び、僕らは歩き出した

 

 

ダンプを位置につかせる、右隣には大きめのプードル、左には焦げ茶のダックスフンドが並んだ

川に沿って無数のワンちゃんが一列に並ぶ

僕は特等席を知っていた、父にその場を任せ僕は家から持ってきた双眼鏡を手に走って一番端、すべてのワンちゃんの肛門が見える場所にしゃがんだ

 

ドン!ドドン!!

和太鼓がなり、カラスが飛び立つ

「それでは!お待たせしました!本日集まっていただいたワンちゃん1024匹による並行同時排便!!ナイアガラのうんこ!!!スタートです!」

ドン…ドン…ドン…!和太鼓がリズムを刻む!

一瞬、静寂、の後、音を僕は聞き逃さなかった

「ミシ…」

湿った柔らかさをもった音が耳をくすぐる

先陣を切ったのはシェパード、黒い体から黒い突起物

「ミシ…!ミシ…!ミシシシ…!」

続いてチワワ、パグ、ハスキー…連鎖するように次々と排便が始まった

『ワアアアアア!!!!』カシャカシャカシャ!

歓声、シャッター音に包まれる会場

ドン…!

「ミシシ…」

ドン!

「ミシシシ…‼」

大きさの違う力強い音が交互に聞こえる

並んだ肛門、個性のあるうんこ

見惚れ、つばを飲む

(美しい…!)

僕が見たかった光景そのものだ、世界のどんな絶景だって、どんな名画だって勝てやしない

それは至福の時間だった。

 

 

そしてある一人が叫んだ

「あれを見ろ!!!!!竜巻だ!!!!!」

え?

 

振り向くと巨大な竜巻がこっちに向かってくる

は?

 

人々は走って逃げ帰っていく

何も聞こえない、黒い点々が蟻の行列みたい、僕は立ち尽くしていた

 

 

親切な人に運ばれながら僕は見たのは、竜巻が次々とうんこを巻き上げてく光景だった…

 

 

翌日、奇妙なニュースがお茶の間を賑わせた

竜巻が町を襲い、去ったあとその町は糞まみれになったというものだ

 

 

ビッグイベント「ナイアガラのうんこ」はその後、二度と開催されなかった

 

 

 

 

(おわり)